本事例は、marutto の代表(経営者)が自ら主導した、自社 AIエージェント導入の記録です。
中小企業の経営者の視点から「採用ではなく仕組み」で人手不足に向き合うため、まず自身の業務から着手し、13体の AIエージェントによるチーム体制を構築。朝の状況把握・会議準備・営業モック提示の自動化に取り組んでいます。
目次
1. 背景と課題:なぜ経営者自らがこの取り組みに着手したのか
2. 取り組み:4チーム13体のマルチエージェント編成
3. 効果:ポジション別の変化
4. 経営者の視点から見た変化と学び
5. よくある質問(FAQ)
6. まずは「もう一人の社員」をご相談ください
1. 背景と課題 なぜ経営者自らがこの取り組みに着手したのか
中小企業の現場では、限られた人員のなかで経営判断のスピード・会議準備・営業提案の質を維持することが大きな負担になりがちです。marutto も、IT コンサルティング・DX 支援を本業としながら、同じ課題を社内で抱えていました。
marutto 自身も人手不足に悩む中小企業の一社で、自分たちの困りごとから手を打ちたい——そう考えた弊社代表は、経営者の立場から「自社を最初のフィールドとし、AIエージェントを『もう一人の社員』として配置する」取り組みを主導することを決めました。
対象となった4ポジションの業務負荷
本事例で対象となったのは、社内の以下4ポジションです。
経営層・管理職(※代表自身も含む)
毎朝、自分のタスク・関係者の動き・影響範囲の把握が追いつかず、抜け漏れが発生しがちでした。
バックオフィス担当
週1回の会議に向け、複数システムから手作業で財務データを抽出してレポートを作成。多忙時には手が回らないこともありました。
営業・現場担当
お客様への試作画面の提示はエンジニアへの依頼が必要で、初期提案が遅れがちでした。
IT 非専門人材
システム導入を主導しようにも、IT のキャリアがないため計画策定の段階で停滞しがちでした。
これらはいずれも、仕組みで行う業務として整理されました。経営者として「自分たちの悩みを解決できてこそ、お客様の悩みも解決できる」と考え、まず当事者として向き合うことを選びました。
経営層が DX を推進する具体的なステップは、あわせて 【DX停滞企業必見】「スモールスタート」で実現!失敗しないDX推進5つのステップと経営層を動かす説得術 もご覧ください。
2. 取り組み 4チーム13体のマルチエージェント編成
本事例で導入されたのは、サービス「まるっとAIエージェント」をベースとする 4チーム・13体のマルチエージェント構成です。
※マルチエージェントとは、1体の AI にすべてを任せるのではなく、専門領域の異なる複数の AIエージェントが分担・連携して業務を進める仕組みです。人間の組織で部署が分かれているのと同じイメージです。
各エージェントは専門領域を持ち、チームをまたいで連携します。
さらに、CRM(顧客管理システム)、クラウド会計サービス、メール、社内 Wiki など複数の外部サービスと連携し、定型業務を自動で実行する体制が組まれました。
3. 効果 ポジション別の変化
● 朝9時の自動レポート送信(経営層向け)
経営チームのエージェントが CRM からパイプライン状況・当月の受注/失注・要フォロー案件を自動で抽出・分析し、レポートにまとめて届けます。当日優先すべきことが一目で分かり、確認の抜け漏れが減りました。
● 財務レポートの自動化(バックオフィス向け)
営業・マーケ・財務チームのエージェントが、クラウド会計サービスから損益サマリー(前月比)・現金預金残高・売掛金残高を定期的に自動取得し、注意すべき項目も自動で検出します。毎回同じフォーマットで提供されるため、会議準備の工数が減りました。
● 営業の場での即時モック提示(営業・現場向け)
営業担当が要件を伝えると、テクニカルチームのエージェントが Web ページのプロトタイプを生成し、ブラウザでそのまま動作を確認できます。従来はエンジニアへの依頼で数営業日かかっていた初期モックを、その場でお客様に提示できるようになりました。
4. 経営者の視点から見た変化と学び
経営者の立場から得られた手応えは、「AIエージェントは人手不足を補う道具であると同時に、経営者と社員がより付加価値の高い仕事に集中するための仕組みになる」ということです。
毎朝、品質の安定したレポートが届くようになり、経営判断が早くなりました。経営者にとっては、これが最も価値があります。会議もデータが整っている前提で議論を始められるようになり、営業の提案もスピードと具体性が上がりました。これらはいずれも、数値だけでは測りにくい「状態の変化」として現れています。中小企業の DX を支援する事業を担う代表にとって、お客様にお伝えする前に自身で確かめておくべきことでした。
そして、この自社運用を通じて得た気づきは、4つになります。
1. 人手不足の解き方が変わる
毎朝のレポートや会議準備の自動化を続けるなかで定着したのは、「人手不足は採用や残業で補うものではない」という見方です。これは、運用を続ける中で、裏付けられた感覚です。
2. 中小企業ほどマルチエージェントが効く
また、4チーム13体の運用を通じて実感したのは、マルチエージェント構成は業務範囲の広い中小企業ほどフィットしやすいということです。中小企業では一人が複数領域を兼務することが多く、専門領域ごとに分担できるマルチエージェントの構造が、組織の実態と噛み合います。
3. 「DX を任せられる人がいない」が変わる
特定のキャリアを持たない担当者であっても、エージェントを「考える伴走者」として使えば、専門人材不在というハードルを一段下げられると分かりました。「DX を任せられる人がいない」という中小企業共通の課題に、一つの現実的な解決策を示せたと感じています。
4. 経営者主導で組織横断が動き出す
そして本事例全体を振り返って最も実感するのは、経営者自らがプロジェクトを主導したことで、現場任せでは進みにくい組織横断の運用が初期から成立したことです。AI 導入は技術選定だけの話ではなく、経営判断と組織として方向性を揃える側面が大きいため、経営者が当事者であることが推進力になります。
5. よくある質問
A. 生成 AI は人の問いかけに応答するのが中心です。マルチエージェントは、専門領域の異なる複数の AIエージェントが役割分担し、決められた業務を自律的に実行・連携する点が異なります。
A. 本事例では、朝の状況把握・会議用データの収集・営業の初期モック作成といった「定型的で繰り返し発生し、抜け漏れが起きやすい業務」から着手しました。AI で業務を自動化した具体例として、【Odoo AI活用】採用スクリーニングを自動化!AIが実現する効率的な採用管理 もご参考になります。
A. 本事例では、顧客管理システム・クラウド会計サービス・メール・社内 Wiki など、複数の外部サービスと連携して運用しています。連携の可否や方法はお客様の環境により異なります。
A. 「万能の魔法」と捉えないことです。本事例ではまず定型的で抜け漏れの起きやすい業務に絞って小さく始め、最終的な判断やお客様との対話は人が担う前提で運用しています。経営者の視点から見ると、期待値を現実に合わせることが、無理なく続けるコツだと感じています。
6. まずは「もう一人の社員」をご相談ください
marutto では、AIエージェント・プロジェクトマネジメント・基幹システム導入・情報システム代行に関する支援を行っています。本事例で取り上げた取り組みは、サービス「まるっとAIエージェント」として提供しています。
「人手不足を仕組みで解決したい」「まず何から自動化できるか相談したい」という中小企業の経営者の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。本事例の通り、まずは経営者ご自身の業務から始めることもできます。
最終更新日: 2026/06/22









