製品の価格設定は、ビジネスの成功にとって極めて重要な要素です。
価格が低すぎると利益が減少し、最悪の場合、損失を招く可能性があります。
一方で、価格が高すぎると販売機会を失い、収益が減少してしまいます。特に大規模な製品カタログを扱うビジネスにおいて、製品マネージャーが手動で適切な価格を決定することは、時間がかかるだけでなく、ヒューマンエラーのリスクも伴います。
さらに、顧客ごとに異なるマージンを設定する必要がある場合、管理すべきデータ量は手に負えなくなります。
本記事でご紹介するOdoo AIによる「ターゲットマージン自動価格設定」機能は、このような価格設定の課題を劇的に解決します。
このAI機能を利用すれば、設定した目標マージンに基づいて適切な販売価格を数秒で決定でき、手動による入力作業や計算ミスを排除できます。
製品マネージャーが価格設定に費やす時間を最大で90%も削減でき、ビジネスの成長に必要な利益確保と業務効率化を両立できます。
【目次】
- 1. OdooのAI価格設定機能とは
2. OdooのAI価格設定機能の使い方
ステップ1:前提となるアプリの確認と開発者モードの有効化
ステップ2:Studioによる「ターゲットマージン」フィールドの作成
ステップ3:自動化アクションの設定(AIによる単価更新)
ステップ4:動作確認
3. Odoo AIの活用方法
4. まとめ:利益最大化とエラー削減の実現
1. OdooのAI価格設定機能とは
OdooのAI価格設定機能は、製品の原価と、ビジネスや顧客に対して設定したいターゲットマージン(目標利益率)に基づいて、適切な販売価格を自動で計算し提案する機能です。
この機能の導入により、手作業での計算やデータ入力が不要となり、ヒューマンエラーのリスクがなくなります。価格計算の結果は数秒で得られ、時間の節約とエラーの排除という大きなメリットがもたらされます。
【 期待される効果 】
- ● 時間の大幅な節約
- 製品価格設定にかかる時間を最大90%削減できます。原価調査や計算に1製品あたり3〜5分かかっていた作業が、AIによって数秒で完了します。
- ● エラーの排除
- 手動計算によるミスがなくなります。
- ● 戦略的な業務への集中
- 管理層は価格設定の煩雑な作業から解放され、優先度の高い業務に集中できます。
- ● コンバージョン率の向上
- 常に適切な価格で提供できるため、販売機会損失を防ぎ、コンバージョン率の向上につながる可能性があります。
また、この機能の大きな特長として、ターゲットマージンは、顧客や特定の販売注文(見積もり)ごとに変更・更新することができ、顧客に合わせた専門的な価格設定が可能になります。
(※注:大規模言語モデル(LLM)は、複雑な計算を単独で行うのではなく、指示に従って数字と自然言語のコンテキストを組み合わせて処理を実行します。この機能は、その仕組みを利用して価格を決定しています。)
2.
OdooのAI価格設定機能の使い方
このAI価格設定機能は、Odooのカスタマイズ機能とAIモジュールを組み合わせて実現されます。
ステップ1
● 前提となるアプリの確認と開発者モードの有効化
まず、以下のアプリ(モジュール)がインストールされていることを確認します。
- ・AIアプリ
- ・Studioアプリ
- ・AIサーバーアクションモジュール
次に、システム設定を変更できるように、開発者モードを有効化します。
- ・「設定」アプリを開きます。
- ・一番下までスクロールします。
- ・「開発者モードを有効化」をクリックします。
ステップ2
● Studioによる「ターゲットマージン」フィールドの作成
AIが読み取るためのカスタムフィールドを販売注文に追加します。
- ①「販売」アプリを開き、左上の「新規」をクリックして見積もり作成画面に進みます。
- ②Studioを開きます。
- ③画面中央の製品を追加するテーブル部分(「注文ライン」セクション)をクリックします。
- ④「リストビューの編集」をクリックします。
- ⑤左側のフィールド一覧から「小数点フィールド」を見つけ、「単価」と「税金」の列の間にドラッグ&ドロップして配置します。
- ⑥左側に表示されるStudioメニューを下にスクロールし、「ラベル」を「ターゲットマージン」と入力します。
- ⑦「ウィジェットフィールド」を「パーセンテージ」に変更します。
この設定により、販売注文でターゲットマージンを手動で入力できるようになりますが、今回はAIに単価の更新をさせます。
ステップ3
● 自動化アクションの設定(AIによる単価更新)
AIにターゲットマージンと原価に基づいて単価を自動計算させるためのアクションを設定します。
- ①画面上部の「自動化」をクリックし、「新規」をクリックして新しい自動アクションを作成
- ②「名前」フィールドに、例として「AIによる単価更新」を入力
- ③「モデル」フィールドを「販売注文ライン」に変更
- ④「トリガー」を「作成時と編集時」に設定
- ⑤「更新時」を「ターゲットマージン」に設定
- ⑥「実行するアクション」タブを開き、「アクションを追加」をクリック
- ⑦アクション名:例として「AIで単価を更新」を入力
- ⑧タイプ:「レコードの更新」を選択
- ⑨「更新フィールド」を「AIで更新」に変更
- ⑩隣のフィールドで、AIが更新する対象として「単価」を選択
- ⑪「To」フィールドに、AIへの指示(プロンプト)を入力し、Odooのフィールドと関連付ける
- プロンプトには、計算に必要なフィールドを組み込む必要があります。例えば、ターゲットマージン、製品、コストなどのフィールドをハイライトし、「/」を入力してから「フィールドセレクター」を使って対応するOdooのフィールドを挿入します。これにより、AIはプロンプト内のプレースホルダーではなく、実際のフィールドの値(例:ターゲットマージンの値、製品のコスト)を参照できるようになります。
- ⑫全てのフィールドの関連付けが完了したら、「保存して閉じる」をクリック
ステップ4
● 動作確認
- ①作成した見積もりフォームに戻り、顧客(例:Deco Addict)と製品(例:3人掛けソファ)を選択します。
- ②初期状態では、単価が原価と同じになっていることを確認します(このままでは利益が出ません)。
- ③作成した「ターゲットマージン」フィールドに、目標とするマージン(例:20%)を入力します。
- ④見積もりを手動で保存します。
- ⑤Odoo AIが自動化アクションを実行し、ターゲットマージンに基づいて単価が更新され、原価に計算されたマージンが加算されたことを確認できます。
4. Odoo AIの活用方法
OdooのAI機能、特にLLM(大規模言語モデル)の強みは、単なる計算処理にとどまりません。LLMは、言語のコンテキスト理解と、複数のフィールドにわたるパターン認識に優れています。
AIによる価格設定機能は、顧客や注文ごとに異なるマージン設定を可能にすることで、営業担当者が常に適切な価格で販売することを保証し、特別価格戦略の実行を容易にします。
さらに、この技術を応用することで、以下のような業務効率化も実現可能です。
- ● 顧客からの問い合わせ内容に基づいたサポートチケットの適切なルーティング。
- ● 製品や顧客のデータに基づいた分類やタグ付け。
● 特定の条件に基づいたステータスの自動更新。
5. まとめ:利益最大化とエラー削減の実現
Odoo AIによる「ターゲットマージン自動価格設定」は、複雑で時間のかかる価格設定プロセスを簡素化し、業務効率を劇的に向上させます。
この機能を活用することで、製品マネージャーは価格設定にかかる時間を最大90%削減し、販売担当者はヒューマンエラーなく、設定されたターゲットマージンに基づいて瞬時に計算された正確な価格で製品を提供できるようになります。これは、常に適切な利益を確保しつつ、販売機会を逃さないという、ビジネスの成功に不可欠な要素をサポートします。
AIが言語コンテキストの理解と数字の処理を統合することで、企業は価格設定を自動化するだけでなく、より高度な業務処理(例:サポートの自動ルーティングなど)にもAIを活用できるようになります。OdooのAI機能を導入することで、貴社は時間の節約、エラーの削減、そして利益の最大化を同時に達成できるでしょう。
ぜひお気軽にmaruttoまでご相談下さい。お待ちしております。








