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Odooを活用したプロジェクト経費管理:基本設定から活用まで

2025年8月24日 by
Odooを活用したプロジェクト経費管理:基本設定から活用まで
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■ はじめに:プロジェクト経費管理の重要性

ビジネスにおいて、プロジェクトの成功は収益性と密接に関わっています。

プロジェクトを計画通りに進め、最終的に利益を上げるためには、プロジェクトにかかる経費を正確に把握し、管理することが非常に重要です。予期せぬ出費や、従業員が業務遂行中に発生させる様々な経費(交通費、食費など)は、プロジェクト予算に大きな影響を与えます。これらの費用を適切に追跡し、どのプロジェクトに関連するものなのかを明確にすることで、正確な原価計算が可能になり、プロジェクトの収益性を確保し、さらには予算の超過を防ぐことができます。


Odooの経費管理機能は、こうしたプロジェクト費用を効率的に管理し、プロジェクトの成功をサポートするための強力なツールです。本記事では、Odooを使ったプロジェクト経費管理の基本的な流れと、その活用方法について詳しく解説します。


 【目次】


 ■ はじめに:プロジェクト経費管理の重要性


 ■ 経費管理機能とは


 ■ 経費管理機能の使い方:プロジェクトへの紐付け


 ■ 経費管理機能の活用方法


 ■ まとめ



この記事は Expenses | Odoo Project & Timesheets を基に作成しています。

■ 経費管理機能とは

2. プロジェクト設定の確認

  1. 経費を関連付けたい特定のプロジェクトの設定を確認します。特に、そのプロジェクトが経費を請求したり、紐付けたりできるよう「請求可能 (billable)」として設定されているかを確認することが重要です。設定が必要な場合は、プロジェクトの詳細設定を編集して保存します。

Odooの経費管理機能は、従業員が業務活動中に発生した様々な経費(出張費、接待費、交通費など)をシステム上で記録、報告、管理するための一連の機能です。この機能を使うことで、個々の費用項目を簡単に登録し、その詳細(金額、発生日、目的など)や関連する領収書などを添付して管理できます。

この機能の重要なポイントの一つは、発生した費用を特定のプロジェクトや活動に紐付けることができる点です。Odooでは、この紐付けを行うために「分析勘定(Analytic Account)」と呼ばれる会計上の概念を利用します。分析勘定は、費用や収益を特定の分類軸(例:プロジェクト、部門、地域など)で集計するために使用されます。プロジェクト費用管理の文脈では、通常、各プロジェクトに対して一つまたは複数の分析勘定が割り当てられます。これにより、特定の費用がどのプロジェクトに関連するものなのかを明確に識別し、プロジェクトごとのコストを正確に把握することが可能になります。

経費管理は単に経費精算を行うだけでなく、それがプロジェクトのコスト構造にどう影響するかを把握し、総利益や収益性を計算する上で不可欠な機能です。適切に設定・運用することで、予算管理の精度を高め、過剰な支出を防ぐことに貢献します。

■ 経費管理機能の活用方法

Odooで発生した費用を記録し、特定のプロジェクトに紐付けて管理するための基本的な流れは以下の通りです。

  1. 1. 分析勘定の設定確認

プロジェクトに経費を紐付けるためには、まず会計設定において「分析勘定」の機能が有効になっていることを確認する必要があります。Odooでは、プロジェクトは分析勘定と関連付けられており、この関連付けを通じて経費がプロジェクトに紐づけられます。通常、プロジェクト作成時に対応する分析勘定が自動または手動で設定されます。

費用管理・分析勘定機能
費用管理・請求可能
  1. 3. 経費モジュールの設定

Odooのメインメニューから「経費」モジュールにアクセスします。ここでは、経費報告に関する様々な設定を行うことができます。例えば、特定のメールアドレスに領収書などの情報を含むメールを送信することで、自動的に経費データを作成する便利な設定(インボックスエイリアス)が可能です。

  1. 5. プロジェクト(分析勘定)への紐付け

作成された経費データに対して、それが関連するプロジェクトに対応する分析勘定を紐付けます。これにより、この経費がどのプロジェクトのために発生したのかがシステム上で明確になります。

4. 経費の作成と報告

  1. 従業員は、発生した経費をOdooシステム上で報告します。これは、経費モジュールのインターフェースから手動で入力する方法や、前述のメール送信機能(設定されている場合)を利用する方法などがあります。経費の報告時には、経費の品目、金額、日付、説明、そして関連する領収書や証拠書類の添付などを行います。

6. 経費レポートの作成と承認

  1. 報告された個々の経費項目は、まとめて「経費レポート」として作成されます。このレポートは、通常、承認者のワークフローを経て承認されます。レポート金額などが正しいか確認し、提出・承認を進めます。


8. プロジェクトでの確認

  1. 仕訳伝票の転記が完了した後、対象のプロジェクト詳細画面(プロジェクトモジュール内)で、関連付けられた経費を確認できるようになります。経費はプロジェクトの「経費」セクションやプロジェクトの更新履歴などに表示されます。また、経費はプロジェクトの総利益 (Gross Margin)にも影響を与えます。経費はコストであるため、総利益の計算においては負の値として扱われ、プロジェクトの総予算を減少させる要素として反映されます

  1. 7. 仕訳伝票の転記

経費レポートが承認されると、Odooの会計システム内で関連する仕訳伝票が自動的に作成され、「転記 (posted)」されます。経費がプロジェクトのコストとして正式にシステムに反映されるのは、この仕訳伝票が転記された後です。


費用管理・経費セクション

■ 経費管理機能の活用方法

  • Odooの経費管理機能を適切に活用することで、プロジェクト管理と財務管理において様々なメリットが得られます。

  • ● 正確なプロジェクト原価の把握

発生した経費を分析勘定を通じて正確にプロジェクトに紐付けることで、各プロジェクトにかかった実際のコスト(原価)を詳細かつリアルタイムに把握できます。これにより、より精度の高いコスト管理が可能になります。


  • ● プロジェクト収益性の可視化

プロジェクトの収益性は、収益から原価(経費を含む)を差し引いて計算されます。経費を正確に計上することで、各プロジェクトの真の収益性を明確に可視化できます。これにより、収益性の低いプロジェクトを特定し、改善策を講じたり、価格設定を見直したりする判断材料が得られます。


  • ● 顧客への経費再請求の効率化

顧客との契約によっては、プロジェクト遂行中に発生した交通費や宿泊費などを顧客に再請求することがあります。Odooでプロジェクトに紐付けられた経費データがあれば、再請求対象の経費を簡単に抽出し、請求書に反映させることができ、再請求プロセスを効率化できます。


  • ● 予算超過リスクの低減

プロジェクトに紐付けられた経費がシステムに記録されることで、プロジェクトの進行に伴って現在どれだけの経費が発生しているかを常に把握できます。これにより、プロジェクトの予算に対して経費が超過しそうになった場合に、早期にその兆候を捉え、対策を講じることが可能となり、予算超過のリスクを低減できます。


  • ● 総利益への影響分析

経費がプロジェクトの総利益にどのように影響するかをシステム上で確認できます。経費がコストとして総利益を減少させる構造を理解することで、経費削減が収益性に与えるインパクトを分析し、より収益性の高い運営を目指すことができます。


■ まとめ 

Odooの経費管理機能は、単なる経費精算システムにとどまらず、プロジェクトの原価計算、収益性計算、そして予算管理を行う上で中心的な役割を果たす重要なツールです。

分析勘定を用いて経費を正確にプロジェクトに紐付け、適切な承認プロセスを経て会計に反映させることで、プロジェクトにかかるコストを詳細に把握し、総利益への影響を可視化できます。

これにより、過剰支出を防ぎ、プロジェクトの収益性を確保し、最終的にはより計画的かつ成功確率の高いプロジェクト運営を実現することが可能になります。


Odooの経費管理機能を効果的に活用することで、プロジェクトを財務的な成功に導くことができるでしょう。 ​




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