日々の業務に追われる中で、「昨日の作業時間をまだタイムシートに記入していなかった!」という経験はないでしょうか。プロジェクトの進捗管理や正確な請求業務を行う上で、タイムシートへの正確な記録は非常に重要です。しかし、忙しさのあまり、ついつい後回しにしてしまい、月末になって慌てて記入したり、最悪の場合、記入漏れが発生してしまうこともあるかもしれません。
もしタイムシートの記入が滞ってしまうと、プロジェクトの正確な進捗状況が把握できず、手戻りが発生したり、顧客への請求金額に誤りが生じる可能性も出てきます。
このような問題を解決し、効率的かつ正確な時間管理を実現するために、統合型ビジネスソフトウェアであるOdooには、非常に便利な機能が搭載されています。それが、今回ご紹介するタイムシートアプリの自動リマインダー機能です。
この機能を利用すれば、従業員は自動的にタイムシートの記入を促されるため、記入漏れを防ぎ、常に最新の作業時間を記録することができます。
本稿では、Odoo初心者の方にも分かりやすいように、このタイムシートアプリとその自動リマインダー機能について、その概要から設定方法、そして活用方法までを丁寧に解説していきます。
この記事を読むことで、タイムシート管理の重要性を再認識し、Odooの便利な機能によって日々の業務がどのように改善されるのかをご理解いただければ幸いです。
【目次】
■ タイムシートアプリとは
■ タイムシートアプリの使い方:自動リマインダーの設定
■ タイムシートアプリの活用方法
■ まとめ
■ タイムシートアプリとは
Odooに搭載されている「タイムシート」アプリは、従業員一人ひとりが日々の業務に費やした時間を記録・管理するための機能です。 このアプリを活用することで、
- ●どのプロジェクトにどれくらいの時間がかかっているのか
- ●どのタスクにどれくらいの時間を費やしているのか
といった情報を正確に把握することができます。
従来の手作業によるタイムシート管理(紙やExcelなど)では、記入の手間がかかるだけでなく、集計や分析にも多くの時間と労力を要し、人的ミスも発生しがちでした。しかし、Odooのタイムシートアプリを利用することで、従業員は数クリックで簡単に作業時間を記録でき、管理者はリアルタイムでこれらのデータを集計・分析することが可能になります。
これにより、業務の透明性が向上し、より効率的なプロジェクト管理や、実績に基づいた正確な見積もり作成に繋げることができます。
さらに、Odooのタイムシートアプリの重要な機能の一つが、自動リマインダー機能です。 これは、従業員がタイムシートの記入を忘れないように、システムが自動的に通知を送る仕組みです。 動画の中でも触れられているように、「仕事で手一杯の私たちにとって、タイムシートへの記入を忘れてしまうのはよくあることです」。この自動リマインダー機能は、このような日常的な課題を解決し、タイムシートの記入率とデータの正確性を向上させるために非常に有効なツールと言えるでしょう。
■ タイムシートアプリの使い方:自動リマインダーの設定
Odooのタイムシートアプリにおける自動リマインダー機能の設定は、直感的で簡単に行うことができます。 以下の手順で設定を行います。
1.まず、Odooのメイン画面から「タイムシート」アプリを開きます。
2.タイムシートアプリの画面上部にあるメニューから「設定」をクリックします。

- 3.設定画面を下にスクロールしていくと、「タイムシートコントロール」という項目があります。その下に「リマインダー」の設定項目が表示されます。

4.このリマインダーの設定画面では、従業員に送信するリマインダーの頻度を設定できます。
具体的には、「1」から「99」までの任意の日数を指定することができます。 例えば、「毎日」「週に一度」「月に一度」といった頻度でリマインダーを送信するように設定できます。

- 5.さらに、リマインダーを送信するタイミングとして、「週の終わり」または「月の終わり」を選択することができます。 これにより、「毎週金曜日の夕方に、その週まだ記入されていないタイムシートのリマインダーを送信する」といった具体的な設定が可能になります。

6.Odooでは、従業員だけでなく、管理者(マネージャー)に対してもリマインダーを設定することができます。 管理者もチーム全体のタイムシートの記入状況を把握するために、定期的なリマインダーを受け取ることが推奨されます。
管理者向けのリマインダーの頻度は、従業員向けとは異なる頻度で設定することも可能です。
例えば、従業員には週に一度、管理者には月に一度、チーム全体の未記入状況を通知するといった運用が考えられます。

- 7.設定したリマインダーが実際にどのようなメールとして送信されるかを確認したい場合は、設定画面に表示されているメールテンプレートを確認することができます。
- 動画内でもメールテンプレートのプレビューが表示されており、「タイムシートレコードを選択するためのボタン」がメールに含まれていることが確認できます。 このボタンをクリックすることで、リマインダーを受け取った従業員や管理者は、直接Odooのタイムシート入力画面にアクセスし、速やかに必要な情報を記入することができます。
- このように、Odooのリマインダー機能は、単に通知を送るだけでなく、受信者がスムーズにアクションを起こせるように工夫されています。

タイムシートアプリの活用方法
- Odooのタイムシートアプリと自動リマインダー機能を組み合わせることで、以下のような様々なメリットと活用方法が考えられます。
- ● タイムシートの記入漏れを劇的に削減
- 自動的にリマインダーが送信されるため、従業員が記入を忘れてしまうリスクを大幅に減らすことができます。 これにより、常に最新かつ正確な労働時間データを保持することが可能になります。
- ● プロジェクトの進捗状況をリアルタイムに把握
- 正確なタイムシートデータが集まることで、各プロジェクトにどれだけの時間が費やされているかをリアルタイムで把握できます。これにより、遅延の可能性のあるプロジェクトを早期に発見し、対策を講じることができます。
- ● リソース配分の最適化
- どのタスクやプロジェクトにどれだけの時間がかかっているかを分析することで、人員配置の最適化や、非効率な業務プロセスの改善に繋げることができます。
- ● 正確な請求業務の実現
- 時間単位で顧客に請求を行うような業務の場合、正確なタイムシートデータは不可欠です。自動リマインダーによって常に正確なデータが記録されることで、請求漏れや誤請求を防ぎ、顧客との信頼関係を維持することができます。
- ● 管理者の負担軽減
- チーム全体のタイムシート記入状況を管理者が手動で確認し、未記入の従業員に個別に連絡するといった手間を省くことができます。 管理者は、リマインダー機能によって自動的に状況を把握できるため、より戦略的な業務に集中することができます。
- ● 従業員の意識向上
- 定期的なリマインダーを受け取ることで、従業員はタイムシートの重要性を再認識し、積極的に記入する習慣を身につけることが期待できます。
- ● データに基づいた意思決定
- 蓄積されたタイムシートデータは、経営判断や業務改善のための貴重な情報源となります。プロジェクトの収益性分析や、将来のプロジェクトの見積もり精度向上に役立てることができます。
■ まとめ
Odooのタイムシートアプリは、日々の業務時間を効率的に記録・管理するための強力なツールであり、その中でも自動リマインダー機能は、タイムシートの記入漏れを防ぎ、データの正確性を高める上で非常に重要な役割を果たします。
簡単な設定で、従業員と管理者の双方に対して定期的なリマインダーを送信することができ、常に最新の労働時間データを把握することが可能になります。
タイムシートの正確な記録は、プロジェクト管理の効率化、請求業務の適正化、そして最終的にはビジネス全体の生産性向上に大きく貢献します。
Odooのタイムシートアプリと自動リマインダー機能を活用することで、煩雑な時間管理から解放され、より本質的な業務に集中できる環境を手に入れることができるでしょう。
もしあなたがまだOdooのタイムシートアプリとその自動リマインダー機能を活用していないのであれば、ぜひこの機会に導入を検討し、その効果を実感してみてください。

※以下、掲載画像は「Reminders | Odoo Project & Timesheets」を参考にしていますので、画面は英語表記となっています。実際の画面は日本語に対応しています。