日々の業務において、私たちはしばしば複数のタスクを同時に抱えています。これらのタスクの中には、あるタスクが完了しなければ次のタスクに取り掛かれないといった、順序関係が存在するものも少なくありません。もし、これらのタスクの順序が曖昧なまま進められると、手戻りが発生したり、プロジェクト全体の遅延につながったりする可能性があります。
そこで重要となるのが、タスク間の依存関係を明確にすることです。どのタスクが先行し、どのタスクが後続するのかを可視化することで、チーム全体がスムーズに連携し、効率的に作業を進めることができるようになります。
本記事では、ビジネス統合管理ソフトウェアであるOdooに搭載されている「タスク依存関係」機能に焦点を当て、その概要から具体的な使い方、そして活用方法までを、Odoo初心者の方にも分かりやすく解説していきます。この機能を理解し活用することで、あなたのプロジェクト管理はより一層洗練されるでしょう。

※以下、掲載画像は「[ARCHIVED] Task dependencies | Odoo Project & Timesheets」を参考にしていますので、画面は英語表記となっています。実際の画面は日本語に対応しています。
【目次】
1.プロジェクトアプリにおけるタスク依存関係機能とは
2.プロジェクトアプリにおけるタスク依存関係機能の使い方
2-1タスク依存関係機能の有効化
2-2タスク間の依存関係の設定
①「ブロック」機能による先行タスクの設定
②新規タスク作成時の依存関係設定
2-3依存関係にあるタスクの確認
2-4さまざまなビューでの依存関係の表示
①カンバンビュー
②ガントチャートビュー
2-5ガントチャートビューでの依存関係の操作
①依存関係線の確認
②依存関係の解除と再設定
③タスクの移動と期間の変更
3.プロジェクトアプリにおけるタスク依存関係機能の活用方法
3-1作業順序の明確化とチームへの共有
3-2プロジェクト全体の進捗管理
4.まとめ
1. プロジェクトアプリにおけるタスク依存関係機能とは
Odooのプロジェクトアプリに搭載されている「タスク依存関係」機能とは、複数のタスクが存在するプロジェクトにおいて、タスク間の実行順序を定義し、管理するための機能です。
具体的には、「あるタスクが完了するまで、別のタスクは開始できない」といった前後関係を設定することで、チームメンバーに対して作業の順序を明確に伝えることができます。
この機能が有効になっていると、各タスクに対して「このタスクが完了するまで開始できないタスク(後続タスク)」や「このタスクが完了しなければならないタスク(先行タスク)」といった情報を紐付けることができます。これにより、プロジェクトの計画段階で定義したタスクの順序を、実際の作業においても遵守しやすくなり、手戻りや無駄な待ち時間を減らすことが期待できます。
Odooでは、プロジェクトを作成する際に、このタスク依存関係機能は自動的に有効になるように設計されています。もし、特定のプロジェクトでこの機能が不要な場合は、プロジェクトの設定から個別に無効にすることも可能です。
2. プロジェクトアプリにおけるタスク依存関係機能の使い方
ここでは、Odooのプロジェクトアプリでタスク依存関係機能を実際に使用する手順について解説します。
2-1 タスク依存関係機能の有効化
通常、Odooのプロジェクトアプリでは、タスク依存関係機能は自動的に有効になっています。プロジェクトの管理画面から、設定を確認することができます。もし無効になっている場合は、各プロジェクトの設定画面から有効にすることができます。
2-2タスク間の依存関係の設定

タスク間の依存関係を設定するには、個々のタスクを開いて操作を行います。
①「ブロック」機能による先行タスクの設定
あるタスク(例えば「部屋2の内装」)が、別のタスク(例えば「部屋1の装飾」)の完了後にのみ開始できる場合、「部屋2の内装」タスクを開き、「ブロック」という項目で先行タスクである「部屋1の装飾」を選択します。
これにより、「部屋2の内装」タスクは「部屋1の装飾」タスクが完了するまでブロックされた状態となります。複数の先行タスクを設定することも可能です。
また、依存関係を設定する際に、タスクの検索や新規作成もその場で行うことができます。例えば、「部屋2の内装」の前に「塗料の購入」という新しいタスクが必要だと判明した場合、依存関係の設定画面から直接「塗料の購入」タスクを作成し、担当者や期日を設定することも可能です。
②新規タスク作成時の依存関係設定
新しいタスクを作成する際にも、既存のタスクとの依存関係を設定できます。タスク作成画面には、先行タスクを指定する項目があり、ここから関連するタスクを選択することで、作成と同時に依存関係を確立できます。
設定されたタスクの依存関係は、タスクの詳細画面から簡単に確認できます。タスク画面には、「ブロック」や「ブロックされている」といったスマートボタンが表示され、これらをクリックすることで、そのタスクが依存しているタスク、またはそのタスクに依存しているタスクの一覧を確認することができます。これにより、タスク間のつながりを視覚的に把握することができます。
2-3依存関係にあるタスクの確認

2-4さまざまなビューでの依存関係の表示
Odooでは、タスクの情報をさまざまな形式で表示できます。タスク依存関係は、主に以下のビューで確認することができます。
①カンバンビュー
カンバンビューは、タスクをステータスごとに整理して表示する形式です。依存関係自体は直接的には表示されませんが、タスクの担当者や期日などと合わせて確認することで、作業の優先順位を判断するのに役立ちます。

②ガントチャートビュー
ガントチャートビューは、タスクの開始日、終了日、期間などを横棒グラフで視覚的に表示する形式です。タスクに開始日と終了日が設定されている場合に、ガントチャート上にタスクが表示されます。ガントチャートビューでは、依存関係にあるタスク同士が線で結ばれて表示され、タスクの順序関係が一目で分かります。この線を見ることで、どのタスクが完了しなければ次のタスクが開始できないのかを視覚的に理解できます。表示期間は、日、週、月、年単位で切り替えることが可能です。

2-5ガントチャートビューでの依存関係の操作
ガントチャートビューでは、表示されたタスクや依存関係線を直接操作することができます。
①依存関係線の確認
ガントチャート上に表示されたタスクを結ぶ線にマウスオーバーすると、どのタスクがどのタスクに依存しているかを確認できます。

②依存関係の解除と再設定
既存の依存関係が不要になった場合、ガントチャート上で依存関係線をクリックし、表示されるアイコンをドラッグ&ドロップすることで、依存関係を解除できます。また、あるタスクの終了点から別のタスクの開始点へドラッグ&ドロップすることで、新たな依存関係を設定することも可能です。例えば、「塗料の購入」タスクが「部屋1の塗装」よりも前に完了する必要がある場合、ガントチャート上で「塗料の購入」の終了点から「部屋1の塗装」の開始点へ線をドラッグすることで、新たな依存関係を作成できます。
③タスクの移動と期間の変更
ガントチャート上では、タスクのバーをドラッグ&ドロップすることで、タスクの開始日や終了日を簡単に変更できます。また、バーの端をドラッグすることで、タスクの期間を調整することも可能です。これらの操作を行うと、依存関係にある後続のタスクのスケジュールも自動的に調整される場合があります。
3. プロジェクトアプリにおけるタスク依存関係機能の活用方法
Odooのタスク依存関係機能を活用することで、以下のような効果が期待できます。
3-1 作業順序の明確化とチームへの共有
タスク間の依存関係を明確に設定することで、チームメンバーはどのタスクをいつまでに完了させる必要があるのか、次にどのタスクに取り組むべきかを正確に理解できます。これにより、作業の遅延や手戻りを防ぎ、チーム全体の効率を向上させることができます。
3-2プロジェクト全体の進捗管理
ガントチャートビューでタスクの依存関係と進捗状況を視覚的に把握することで、プロジェクト全体の流れを管理しやすくなります。遅延しているタスクや、それが後続のタスクに与える影響などを早期に発見し、適切な対策を講じることが可能になります。
■ まとめ
Odooのプロジェクトアプリにおける「タスク依存関係」機能は、複数のタスクが関連し合うプロジェクトを効率的に管理するための強力なツールです。タスク間の順序を明確にし、チーム全体で共有することで、作業の無駄を減らし、プロジェクトの成功に貢献します。
本記事で解説したように、Odooの直感的な操作性により、タスク依存関係の設定や確認、管理は容易に行うことができます。
ぜひこの機能を活用して、あなたのプロジェクト管理をさらにレベルアップさせてください。